『Weather Reports』あとがき

2026/2/22

『Weather Reports』あとがき

Buddy……

概要

3作目の漫画です。制作の前に考えていた目標は以下の通りです。

  • ややシリアス目のSF、ただしコメディを入れる
  • キャラクターの可愛さを強調し、メリハリを意識する
  • メリハリを意識してGペンでペン入れする
  • パロディやオマージュに頼らない

前々作は普段思っていたことをそのまま描いたような話、前作は「お客さんが何を欲しがっているのか」を強く意識したキャラ漫画でした。前作が前々作の反動として書かれているのですが、人物造形があまりにもキャラキャラしくなってしまったのと、なにか主張のある作品とは言えない感じでしたので、間をとるかと思って描いたのが本作になります。

元ネタ、というか明らかに影響を受けた作品は、士郎正宗『攻殻機動隊』、コトヤマ『よふかしのうた』です。士郎正宗の世界展に行って、自分もお仕事ものやってみたいな~となって考えた話です。

今回はGペン(デジタルだけどね)で描きました。この方が良いですね。

主張

Geoengineeringという学問があります。日本語で地球工学ですかね?気候変動に対抗することを目的とした意図的な大規模介入策……つまり気候変動を解決するために人類自ら気候をむりやり動かしてしまえという考え方です。わかりやすく言えばストームライダーです。知ってる?ストームライダー。

言いたかったのは、要は「ストームライダーは悪か?」ということです。まああの作品はノリノリで台風にミサイル的なものを打ち込んでいたからちょっとアレですね。じゃあダンスパウダーは?ダンスパウダーはもっとダメか。う~ん。

上記の例でお分かりだと思いますが、こういったGeoengineering的な手法はフィクション作品で「悪」と扱われがちですし、科学万能主義に走った人類の傲慢さとして描かれがちです。現実でもアラル海の例がありますね。しかし、現実問題として、行くところまで行ってしまい引き返せなくなってしまった人類は、殺人猛暑や殺人台風に対してGeoengineeringを適用せざるを得ない局面になるかもしれない。そうなってしまったとき、その運用を仕事として行っている人間、まあおそらくは役所の人間は、「悪」か?いや、そう断じることはできないよな……でも「善」か……?そうでもないよね……という考え・悩みがベースになっています。大きな倫理と局所的な人助けの対立です。

やりたかったができなかったこと

本作はこのまま連作ができるようにしようと考えていたフシがあります。連作に憧れがあった。朝霧とオリヒメ(アイツの名前がはっきりしなかったけど私は内心でそう呼んでいる)がバディものをやる方向で行きたかった。バディものが好きだから。

バディもの

そうすると、2話以降は、気象制御になんらかのトラブルが発生して、ふたりが奔走して解決!めでたしめでたし……を続けていけばいいかと考えていたんですが、1話を描いてみた結果、結局私個人としてGeoengineeringを肯定することはできなくて、本作の世界の中では一見うまく運用できているように見えますが、実際はそんなことないんだろうなと思ってしまいました。このまま続けていても破滅が訪れるんじゃないか……?という考えがぬぐえず、結局はその蟠りを自分の中で解決できない限り2話以降は描けないなと思っています。「頑張ったけど破滅する話」を書きたくないから。ごめんよ……

課題

山積みです。あまりこういうところで自作の悪口ばかり言ってもしょうがないので詳しくは書きませんが…… 技術以外の反省としては、結局暗い話になってしまったので、描いていてあまり愉快な気分になれなかった点ですね。目標にしていたちょっとしたコメディも入れたかった。攻殻機動隊とかパトレイバーとかに入る突拍子もない乾いた笑いみたいなのが好きで、ああいったものを入れられたら良かったんですが。

次作はまたちょっと違う方向性になると思います。もう少し描いていて楽しい方向にしたい。

感謝

グダグダと描きましたが、今回はかなり多くの方にお読みいただけたようで、本当にありがたいです。大感謝! 次作はコミティア156での発表を目指します。お楽しみに!